(会報誌「もりの手紙」2021年6月号(もりメイト倶楽部に「この人」あり)掲載)
そのタフさ行動力、見識の深さの源はいったいどこから?
今回は、そんな理事長の人となりに触れてみたいと思います。26歳の時に単独世界一周を果たし、見い出した事は・・。
私は26歳の時、リュックサックを背負い低予算で海外を巡るバックパッカーとして旅に出ました。そして、初めて外から日本を顧みた時、なんと自然が豊かで素晴らしい国だということに気付きました。しかし、食物自給率が低く、当たり前にある水や農業の大切さを何も考えずに生きていられる人々の多さに疑問を感じていきました。それから毎日食べるものがどのように作られて、私たちの命を生かしてくれているのかを考えるようになりました。
ある日、まだ若き30歳の時にガンが見つかり、時間には限りがあると「人生観」が変わりました。なるべく自然の中で過ごしたくて、キャンプや登山に行っておりました。そんなある日、登山道からは外れてしまい道に迷っていた時に、美しいササユリが人に見られることなく咲いている風景に出合いました。精いっぱい命を輝かせて、それはとても美しい姿でした。人は人から見られる自分を気にしますが、それよりも私の使命を真っすぐやることが大切だと、自然が教えてくれました。
幸い手術で治ったあと、農業が学びたくて縁あって世羅地域で都会の若者と農業をしている若者の交流と、「農的くらし方」を伝える『農業体験塾』を始めました。ある日、その会で田植えをしていて、この田んぼの水はどこから?川から・・・森から・・・。と気付き、森の事を勉強したいと思っていた時に、第1回もりメイト養成講座(現もりメイト育成講座)を知り申し込みました。約200人が申し込んだ年だったので、とても驚きでしたが、せっかくその中の30人に入ることが出来たので、学ぶ喜びを感じながら、続けて行こうと決めたのです。
卒業して、皆さんに呼びかけてグループを作りました。それが「もりメイト倶楽部Hiroshima」です。来年で25年になります。森の手入れをしている地域には喜んでもらって、ボランティアを希望される方々には楽しいステージにもなっています。
上に書いた「ある日、」からイマジネーションが生まれていき、使命へと何かの力が導いてくれる。組織の運営は時間が多く取られ、時には苦しいこともありますが、目覚めさせてもらえたことは幸福なことです。
今、大学で「ボランティア論」を教えています。若い世代にも伝えながら、子どもから高齢者など色々な世代、また企業や行政職員にも森づくりの大切さを伝えていきたいと思っています。《白島のご自宅にて、お母さまと夫の三人暮らし》